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ジャパンビンテージへの考察 [ギター関連]

世の中ジャパンビンテージだとかメイドインジャパン高品質とかよくわから
ない商売が成り立っていますが、私の年齢からするとオイオイいい加減にしなよ。
ってなわけになる。
だって、そんなもんただの粗悪品の中古にすぎないのを知っているからだ。
tokai-gibson.jpg
僕がギターをはじめたおよそ30年程前、楽器屋にかかっていたのはグレコ、トーカイ、
その他モロモロの安物コピーギターだった。
少年達は本物のあまりの高価さにビビリつつ、そういった粗悪品を買ったもんだった。
え?それって粗悪品っていい切ってしまうの?と言われると、ハイ言い切りますよ。
私の世代は。
そもそもそういうコピーしか購入出来なかったので、重宝したし思い出もあります。
当時、Made in JAPANでフェンダー、ギブソンとタメ線張ってた値段の日本製ギター
もあったんですよね。フェルナンデスやYAMAHA,MOONなんかが有名でした。
そりゃもう、YAMAHAのSGシリーズなんて言ったら憧れでしたよ。
MOONにしてもそうです。到底、支払えない金額のそれらのギターを横目に、
トーカイ、グレコを買ったもんです。

なんせ安かった。安かったから悲しい程の作りでして、モクがどうのなんか語る
人間や品質を語る人間なんか一人もおりませんでしたねぇ。
だって、たまにずいぶん年上の方の持っているいわゆるホンモノのフェンダー
、ギブソンを弾かせてもらった時の、あの感動ときたらないです。
めちゃくちゃ弾きやすく、何もかもが違う本物のオーラを見せつけられたモンです。
そもそも金属パーツの品質がダンゼン違う。塗装の質感も違う。

その頃のジャパン大量生産ギターは文字通り大量生産ギターであり、某有名下請け
会社がNCルータの活用法に死ぬ程たけ、手作りから工業製品バリバリに移行させた
張本人である事は、僕らの世代では有名な話だろう。
人の手で作られたモンでもなく、機械でギッタンバッコンと画一的な品質を大量に
作り出し、格安で売ったそれらのギターは、少年達にある種のトラウマを植え付け、
当時はピックアップ変えるなんて事も価格的に出来ず、木の切り出し品質は機械生産
のおかげでどれもこれも同じで甲乙付けがたいモンであったが、実にチープなギター
と本物を比べてため息をついていた時代であった。

そこにフェンダーがジャパンなる商品を作った。
そりゃもう飛びつく訳ですよ、だって日本製でもフェンダーである。
そこでまた、ジャパンと本家を比較してうなだれる少年を大量生産したのは間違い
がない事実だ。
ジャパンビンテージって言葉がいきなり最近使われている。
過去の製品の品質は、異様に高い!というのがその根拠のようだ。
酷い話である。ほんとにめちゃくちゃな話だ。
そのジャパンビンテージに、あの頃の日本製の高級ギターメーカーの物は
まったく含まれていないようだ。
だって当時から高級だったんだから、高級品の中古って扱いなんだろう。

つまり、当時の良い高級ギターはジャパンビンテージではなくただの中古で安く。
当時の画一的な大量生産の安い商品をジャパンビンテージとしてプレミアムに、
というのが本質のようだ。
まあ確かに、大量生産品だからタマカズがめちゃくちゃ多い。
そんな否定ばかりしていると、反論を言い出したくなる人もきっといるでしょう。
そういう人は、実際のところ屁理屈をこねくりまわしてでも正当化したいんでしょう。
ただし、それならば作ってるメーカーに聞いてみればいいんです。

アンタんとこの新品ギター、昔作ったもんよりかなりクオリティー落ちてるんでしょ?
新品のギター、あんたんとこのメーカーの買うより、古いの高い金出して買う方が
ずっといいモン買えるんでしょ?
それを聞いて、ハイその通りです、昨今、うちの技術力も材料の調達力も落ちてまして
過去の生産品のほうがずっと高品質なんです。
と各種メーカーが答えるならば、ジャパンビンテージの存在意義もあるでしょう。

GIBOSN FENDERの本家はどうか?
聞くまでもなく、ギブソンは過去のレスポールの栄光を未だに追い続け、フェンダー
も過去の作り方の技術の踏襲に、工具まで作り直して燃えてます。
ならば日本製はどうか?
そもそもそれらのコピーをいかに安く作るか?に情熱を傾けた時代のモンである。

当時の日本製安ものコピーギターを全て否定するつもりはない。
だが、当時、それらを今の時代のように本家よりも最高!なんて言ってる人は
いなかったのである。
そして舶来品よりも高級、もしくは対等な価格付けをされたギターはジャパンビンテージ
とか言われてないのである。

YAMAHAのSGはやはり、高中やサンタナの使ってた何年モデルが最高で、今のは
ダメだって言うのなら、なるほどジャパンビンテージというのもあるだろう。
シェクターに部品を供給したムーンや、80Sのフェルナンデスなんかのギターは
ほんと高価だった。
良い物を作り続けて消えたメーカーもあるかもしれないが、それはコピーを作り
続けた、下請けでギターを作る事しか出来なかったメーカーなんではないでしょうか。

各種ギター制作会社の名誉を傷つけるつもりもないし、むしろ逆だと思うのだ。
それら過去歴史があり、作り続けているメーカーさんの現在のギターの方が
いい場合だってあるでしょ?という意味だ。もちろん同じ価格で買うのならだ。
そして当時、高値をつけた日本製ギターを今の同じモデルの定価より高く買う人
っているんでしょうかね?
実はほとんどは、人気なのはフェンダーの名前のついたモデルだったりしませんか?
フジゲンさんの作ってた頃のフェンダージャパンは最高!って言う人がいたら、
そりゃ嘘つきですよね?フジゲンの現在の技術力、材料調達力が低下している根拠を
示してくれないことには話にならんのです。
フジゲンさんがそんな事言ってるんですかね?
言ってないと思うんだけどなぁ。
しかも、下請け差分がない分、そりゃもう今の新品ギターの品質の方がいいに決まって
るわけで、フジゲン下請けのフェンジャパ買うなら、フジゲン製の当時の製品の方が
高価であたりまえだと思うのですがいかがですか?

まとめると
【ジャパンビンテージとは】
フェンダージャパン、フジゲン制作モデル<当時のフジゲンオリジナルモデル
に価値がなければおかしな話だ。
オリジナルモデル
YAMAHA SG 80S>新品YAMAHA SG
に価値がついていないのならおかしな話だ。
各種当時のメーカーが
過去のコピーモデル>現在の新製品
と認めていなければおかしな話だ。
(GIBSON/FENDERは過去の良いモデルに近い製品を作る事で価格を上げている)

そして、何より実体験としてコピー大量生産品を購入していたあの頃、
本家に近づこうとしたメーカーの努力が、現在、無駄でどうでもいい事であり、
新製品にノウハウとして何も生かされていないという事になってしまう。
ましてや高品質なまま生き残った低価格商品っていったい何の話なんでしょう?
って事になる。

趣味は自由であり、趣向は自由ではあるので勿論口を出すべきではない気がする。
しかし、何も当時の事を知らない人を相手にそういう商いをするのは、現在の
メーカーに対して失礼なんじゃないか?と思うんですよね。
フジゲンさんだっていいモン今、作ってますよ?

ただし、言える事はオリジナルのヒット商品を作れなかったメーカーというのは
存在するわけです。日本はそういう意味では、ほとんど作れなかったと言える。
本来のジャパンビンテージとは、オリジナルの商品にのみ与えられるための称号
じゃないのでしょうか?

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コメント 4

LS200

誠に残念な記事です。
確かに当時の安物をジャパンヴィンテージなどと呼ぶのは
噴飯モノではあると思います。
しかし
78-84年当時の最上位機種を手にとったことないんでしょうね。
Greco、TokaiのLesPaulコピーに限るけど
その頃の本家現行製品が酷かったこともあるけれど
明らかに日本製が上と思えますね。
じゃあ今はどうか
上の画像の本家レスポールモデル
ヘッドの形なんか
オリジナルとは似てもにつかない、、、、
ヒスコレは?
マーケティング上のスペックは凄いけど
実物はバラツキが酷くていいものはいいけど
酷いのはヒドイですよね。
いかがでしょう。
by LS200 (2014-11-09 21:53) 

森のぷーさん

78-84のレスポールコピーの上位を手に取った事はないですね。
おっしゃる通り、Gibsonは当たり外れが多いですよね。
日本製が上であれ下であれという議論は、主観も入るでしょう。
好みって問題もある世界ですよね。そこは否定しません。

良い偽物のビトンを本家よりも高品質に作って安く売る。
こういうのは今は犯罪ですよね。
本家よりデキの良いビトンも、本家よりデキの良いレスポールも偽物
に変わりはなく、しかも出来不出来は主観なのは理解出来ますよね?

そもそも日本がそういった世界の偽物大量生産工場だった頃、
画一的で出来不出来の少ない品質の安定、
つまり職人的、技術的な側面を排除したモノヅクリが好評だった
事は現在のギブソンもフェンダーも学んだ事でしょう。
そこは誰もが認める事だと思います。
なにしろ本家は出来不出来うんぬん以前に、全部サイズすら違ったりね。
ケースも同じギターなのに入らないとかね。

いくら注文生産品で高品位な材を惜しげもなく利用して偽物を
機械生産で精度をあげて作った所で、イイモノだと言えるかどうか?
いくら過去は日本で許されているからといって、近隣の国がやっている
事を非難しつつ、偽物だけどいいものなんて言ってていいのか?
良質なPUすら真似できず、木材の切った貼ったの加工を機械で正確
に行い、型は本ものからバッチリとってますとか、設計もバッチリ
真似してますとか、それが技術と言えますかね?
単に良い木材もって来て切った貼ったしただけでしょ?
それが技術力、ギター製作だって言えますか?

私は声を大にして大恥だと言ってるわけで、そんなものはいくら
屁理屈をこねくりまわしたところで低俗な商品だと言っているのです。
製品のばらつきがあるから現物確認もする。
製品のばらつきがあるから試奏もする。
偽物ではない本物の中から、自分に合ったものを見つけてください。
安い買い物ではないはずですよ?
本物の中から自分の気に入った一本を精査しながら見つける人、
偽物でもパクリでもいいと思えばいいって人、それぞれの判断基準
があってもいいですし。
いい方が気に召さないかもしれませんが、それは申し訳ない。
ご容赦ください。

可能であれば、もう少しギターに敬意を持って戴きたいです。
コピー品はコピー品です。本家は本家であり、そのデザインがなければ
コピー品の音もありません。
その材の選定、技法がなければコピー品の音も出ません。
双方、大量生産品なのですからアイデアやデザインが技術力であり、
NCルーターで切った貼っただけを技術が上だとか言わないで欲しい。
誠に残念じゃないですか?
日本人が、自国のコピー品を本家より最高とか主張するなんて、
誇りもへったくれもあったもんじゃありません。

もっかい言っておきますが、何のための試奏、現品確認を楽器は
許されていて、出来の悪い本ものを選ぶのも、出来の良い本物を
選ぶのも本人次第なんですよね?
いい本物を選ばれたらいいんじゃない?というのがいつの時代も
結論でしかないのではないでしょうか?
お金の問題じゃないのなら私はそう思いますね。
by 森のぷーさん (2014-11-19 06:51) 

影野 暗躍

私がギターをはじめた70年代中盤…、エントリーモデルは4万円からで、それより安いものは「バッタもの」という位置づけだったと思います。
現行のエントリーモデルとは明らかにグレードが異なるので昔の方がいいのは当たり前。
それが拡大されて、全て昔のものがいい的に言われているだけではないでしょうか…。

値段、作った国によりものの良し悪しは解りませんが、気持ちよく使えるようになるまでに手間がかかるかどうかは感じます。

昔のギターと今どきのギターはかなり異なるように感じます。同様に昔のピアノと今のピアノは重さから音までかなり違うように感じます。
楽器とは時代によって変わって行くものなのかも知れません…。

今のギターは安物でさえとても弾きやすくて、軽めでキレイでいい音がするものが多いように感じます。

昔のギター(私も35年前のYAMAHAのストラトとSGの下位モデルを愛用しています)で今でも使えるものはいわゆる「当たり」なので、モノが良くて当然です。
私の手にはとても馴染んでいますが、他の人にとっても弾きやすくていいものか?と聞かれても解りません。
新たに現行のPacificaとどっちを買うかと言われれば…Pacificaかな…。
by 影野 暗躍 (2015-07-18 20:14) 

森のぷーさん

影野さま、コメントありがとうございます。
日本人として、物造りという誇りがこうも軽い事になってしまった
事は消費者にも責任があるのではないかと思います。
やはりビンテージとは本物に与える名で、偽物や、真似物に
与える称号ではないかと思い、記載した記事です。
デザイン、素材、全てを完璧に本物に偽て作った素晴らしい楽器
、デザイン、素材全てを完璧に偽て作った素晴らしい仏像、
どっちも私は同じだと思うんですよね。


by 森のぷーさん (2015-09-04 02:28) 

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